• "変動等"(/)
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  1. 山形県議会 2022-12-01
    12月06日-02号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 4年 12月 定例会(第409号)  令和四年十二月六日(火曜日)午前十時零分 開議議事日程第二号  令和四年十二月六日(火曜日)午前十時開議第一   議第百二十七号 令和四年度山形県一般会計補正予算(第五号)第二   議第百二十八号 令和四年度山形県土地取得事業特別会計補正予算(第一号)第三   議第百二十九号 令和四年度山形県港湾整備事業特別会計補正予算(第二号)第四   議第百三十号 令和四年度山形県流域下水道事業会計補正予算(第一号)第五   議第百三十一号 令和四年度山形県電気事業会計補正予算(第一号)第六   議第百三十二号 令和四年度山形県工業用水道事業会計補正予算(第二号)第七   議第百三十三号 令和四年度山形県水道用水供給事業会計補正予算(第二号)第八   議第百三十四号 令和四年度山形県病院事業会計補正予算(第二号)第九   議第百三十五号 山形県特別職の職員の給与等の支給に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十   議第百三十六号 山形県職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第十一  議第百三十七号 山形県職員の定年等に関する条例の一部を改正する等の条例の設定について第十二  議第百三十八号 個人情報の保護に関する法律施行条例の設定について第十三  議第百三十九号 山形県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十四  議第百四十号 山形県個人番号の利用に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十五  議第百四十一号 都市計画街路事業(単独)に要する費用の一部負担について第十六  議第百四十二号 下水道事業(単独)に要する費用の一部負担について第十七  議第百四十三号 道路事業(単独)に要する費用の一部負担について第十八  議第百四十四号 急傾斜地崩壊対策事業(単独)に要する費用の一部負担について第十九  議第百四十五号 一般県道余目松山線道路施設長寿命化対策事業庄内橋桁製作架設工事請負契約の締結について第二十  議第百四十六号 当せん金付証票の発売について第二十一 議第百四十七号 山形県立自然博物園指定管理者の指定について第二十二 議第百四十八号 山形県志津野営場の指定管理者の指定について第二十三 議第百四十九号 悠創の丘の指定管理者の指定について第二十四 議第百五十号 第一酒田プレジャーボートスポット等指定管理者の指定について第二十五 議第百五十一号 山形県酒田海洋センター指定管理者の指定について第二十六 議第百五十二号 加茂港緑地等の指定管理者の指定について第二十七 議第百五十三号 山形県飯豊少年自然の家の指定管理者の指定について第二十八 議第百五十四号 山形県体育館及び山形県武道館の指定管理者の指定について第二十九 議第百五十五号 医療事故に係る損害賠償の和解についての専決処分の承認について第三十  議第百五十六号 山形県公害審査会委員の任命について第三十一 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第二号に同じ。出席議員(三十九名)  二番 梅津庸成議員  三番 今野美奈子議員  四番 菊池大二郎議員  六番 高橋 淳議員  七番 遠藤寛明議員  八番 相田光照議員  九番 遠藤和典議員  十番 梶原宗明議員 十一番 関  徹議員 十二番 山科朝則議員 十三番 菊池文昭議員 十四番 松田敏男議員 十五番 青木彰榮議員 十六番 青柳安展議員 十七番 五十嵐智洋議員 十八番 柴田正人議員 十九番 渋間佳寿美議員二十一番 矢吹栄修議員二十二番 小松伸也議員二十三番 渡辺ゆり子議員二十四番 石黒 覚議員二十五番 吉村和武議員二十六番 高橋啓介議員二十七番 島津良平議員二十八番 加賀正和議員二十九番 森谷仙一郎議員 三十番 鈴木 孝議員三十一番 楳津博士議員三十二番 奥山誠治議員三十三番 小野幸作議員三十四番 木村忠三議員三十五番 金澤忠一議員三十六番 伊藤重成議員三十七番 舩山現人議員三十八番 田澤伸一議員三十九番 森田 廣議員 四十番 坂本貴美雄議員四十一番 星川純一議員四十二番 志田英紀議員欠員(四名)  説明のため出席した者知事          吉村美栄子君副知事         平山雅之君企業管理者       沼澤好徳君病院事業管理者     大澤賢史君総務部長        小林剛也君みらい企画創造部長   岡本泰輔君防災くらし安心部長   奥山 賢君環境エネルギー部長   安孫子義浩君しあわせ子育て応援部長 布川理枝子君健康福祉部長      堀井洋幸君産業労働部長      我妻 悟君観光文化スポーツ部長  西澤恵子君農林水産部長      地主 徹君県土整備部長      小林 寛君会計管理者       佐藤紀子君財政課長        相田健一君教育長         高橋広樹君公安委員会委員長    吉田眞一郎君警察本部長       丸山彰久君代表監査委員      松田義彦君人事委員会委員長    安孫子俊彦君人事委員会事務局長   大場秀樹君労働委員会事務局長   富樫健治君     午前十時零分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第百二十七号議案から日程第三十議第百五十六号議案まで及び日程第三十一県政一般に関する質問(代表質問) ○議長(坂本貴美雄議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第百二十七号令和四年度山形県一般会計補正予算第五号から、日程第三十議第百五十六号山形県公害審査会委員の任命についてまでの三十案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第三十一県政一般に関する質問を併せ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 三十六番伊藤重成議員。 ◆36番(伊藤重成議員) おはようございます。自由民主党会派の伊藤重成です。会派を代表し県政課題について質問させていただきますので、知事はじめ執行部におかれましては真摯な御答弁をお願いいたします。 さて、臨時国会は補正予算が成立し、加えて旧統一教会問題に対する法案審議も佳境に入っており、被害者救済のため早期の成立を期待申し上げます。 国会は、県議会と違い議院内閣制なので、与党、野党に分かれ論戦を交わしますが、いっとき、実のある議論をと言われ、提案型の野党を模索したこともありました。しかし現在は対決型でありますが、私が思うには、野党は常に政権交代を目指すわけですから、与党の弱いところをつき弱体化させることは当然の理と言えます。県選出の野党議員は、国会では与党を批判し、地元では与野党問わず力を合わせましょうなどと常套句で言葉を濁します。それでも野党の猛攻に耐えてこその与党であり、そこに政治の醍醐味があるわけです。 このような中、国会中継を見て久々に感動したのは、野田元首相の安倍晋三元首相への追悼演説でした。遡ること二〇一二年十一月の党首討論、まさにお二人が政権の命運をかけた丁々発止、記憶に残ります。選挙での勝敗も大きなファクターですが、政治は国民、県民生活の安寧のためにあると、議場においでになる同僚議員も同じ思いと存じます。知恵を出しながら乗り越えていく山形県議会であってほしいものと自戒しながら常々考えます。 では、早速質問に入ります。 県は、去る十月に令和五年度予算編成方針並びに令和五年度県政運営の基本的考え方を示され、そして先日、予算要求概要が公表されました。 今回の編成方針の中で特徴的だと感じたものの一つとして、二部局以上が連携して新たに取り組む事業については所要額を要求できる「施策展開特別枠」を設けたことが挙げられます。これまでの部局間連携の好事例としては、農福連携が挙げられると思います。農業サイドからは人手不足の解消、農業経営の拡大、福祉サイドからは就労機会の確保として、互いの求めるところが一致しており、県が配置した農福連携推進員のマッチングにより農作業に従事した利用者の延べ人数は、平成三十年度では一千九百七十一人でしたが、令和三年度は一万一千九百六十六人と大幅に実績が伸びております。このように、部局間連携をしっかり検討し、展開していくことは有効であり、意義あるものと思います。とかく縦割り行政の弊害がクローズアップされることがありますが、行政が担う役割が複雑化・高度化する中にあって、部局間をまたいで情報共有を図り対応することが必要だとつくづく感じる面も多々あります。 今回、施策展開特別枠を設けたことは、県民目線を意識しながら連携事業というものを予算の面から後押しするという意思の表れでありますが、予算要求概要を見てみますと、特別枠で足りないと思われるのは稼ぐ力、つまり山形県の品質の良い農産品、また優れた工業製品などを広報・販売する連携が薄いことです。とかく山形県人は売り込む商才が下手だという評判は枚挙に尽きません。連携予算を見ますと、サクランボだけが目立つ存在になっています。例えば、せっかくの山形セレクションは、付加価値をつけるよい事例でしたが、現在はほとんど利用されていないと言っても過言ではありません。しっかり事業内容を検討していただき、今後に役立ててほしいと思います。 また、令和五年度においても、公債費や社会保障関係費が高い水準で推移することに加え、新型コロナや原油価格・物価高騰による様々な影響や、近年頻発化・激甚化している自然災害への対応などが必要であり、引き続き厳しい財政状況が続くものと考えられます。 一方、このような中にあっても、今回の編成方針では、人への投資や公的固定資本への投資など、ポストコロナの県づくりに向けた未来への投資として期待や希望を持てるようなワードもあり、これもある意味、今回の編成方針における特徴的なものとの感じを受けました。 以上、述べさせていただいたことを含め、令和五年度の予算編成にどのような狙い、考えを持って臨んでいくのかを吉村知事に伺います。 次に、山形新幹線米沢トンネル・仮称の整備についてお尋ねします。 吉村知事は、平成三十年度の年度初めに当たっての職員訓示において、山形、庄内両空港の滑走路二千五百メートル延長を打ち出しました。あわせて、県とJR東日本がトンネルの件で話し合っているということにも触れています。察するにそれは山形県の国内外における高速交通体系の第二段階へのステップアップと当時私は捉えていました。大いに賛成です。しかし、それを実現するには、何といっても地元の理解、熱意、運動が不可欠であり、また、大きな事業となればなるほど、財政負担について、政府ばかりでなく政権与党への働きかけが是が非でも必要となるでしょう。 十月二十四日、県とJR東日本との間で「山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備計画の推進に関する覚書」と「山形県内の鉄道沿線の活性化等に関する包括連携協定」が締結されました。覚書では、区間として福島県庭坂駅から米沢駅間二十三キロメートル、工期は着工から十五年、事業費一千五百億円の大規模プロジェクトで、整備効果は、時速二百キロメートル以上の高速走行も可能な緩やかなカーブのトンネルとなることによる時間短縮、山形新幹線最大の難所である福島-米沢間の安全性・安定性の向上です。 また、先月には、県議会も参画する山形県鉄道利用・整備強化促進期成同盟会の下に、やまがた鉄道沿線活性化プロジェクト推進協議会が矢継ぎ早に成立され、県民運動を目指す機運醸成が今後図られるものと考えます。 一方、先日JR東日本から発表された二〇二一年度収支では、県内六路線十区間で大幅な赤字の路線となっており、今後、鉄道会社や自治体が検討する協議の枠組みが法制化されれば、存続策やバス転換などについて検討が始まるおそれがあります。そのようにならないためにも、包括連携協定を着実に進めていかなければなりません。 ここで、現在運行している山形新幹線建設に至る経過を少しひもといてみます。 時は昭和六十年、板垣清一郎知事の下で策定された第七次山形県総合開発計画では、奥羽、羽越両新幹線の建設を長期目標として取り組むとともに、当面の課題として、新幹線との円滑な乗り継ぎ方法及び在来線の高速化など利用拡大に結びつく整備を促進すると盛り込まれました。翌六十一年には旧国鉄内に新幹線接続在来線速達性向上検討プロジェクトチームが発足し、年末には新幹線直行特急早期実現期成同盟会が設立。そして早速、政府の予算編成時に合わせ、知事、副知事が運輸事務次官、国鉄総裁に陳情。翌六十二年には、知事、副知事が運輸大臣、大蔵省に重ねて陳情。そして年末の予算編成時には自民党幹事長、総務会長に陳情の末、十二月二十八日の予算案に国庫補助額一・七億円が計上され、事業がスタートすることになりました。 これと符合するように、当時の鹿野道彦代議士は、昭和五十八年から六十二年にかけて自民党交通部会の部会長、衆議院運輸委員長を歴任し、政策決定に大きく関与していたものとうかがわれます。言い換えれば、板垣知事は鹿野代議士という知己を得、後を引き継いだ高橋和雄知事は、先月大きく延伸した東北中央自動車道建設において、提唱者の近岡理一郎代議士という知己を得たと言っても過言ではありません。 戦略においては県民の大きな声援を必要とし、戦術においては適時適切に適任者を活用しなければなりません。そうであれば、今の米沢トンネル・仮称整備のキーマンは、自民党三役の一角を占める総務会長の遠藤利明代議士だと私は思います。 知事と遠藤代議士は、これまで、知事選挙、国政選挙において何度となくぶつかってきております。目前には統一地方選挙があり、知事の恒例となっている恩返しが始まります。ここに至っては、米沢トンネル・仮称では同じスタンスと見てとれますが、吉村知事、仮に遠藤代議士が敷いた米沢トンネル実現へのレールにしっかり乗ってもらえるのでしょうか。 先日開かれた知事の資金団体のパーティーに遠藤代議士ビデオメッセージを送ったと聞き、またさらに、御挨拶の中で遠藤代議士とは蜜月の関係にあると述べられたとも伺い、驚愕しております。メッセージ知事サイドから要請したとも聞いておりますが、折しも明日には遠藤代議士主催のセミナーが山形市内であります。メッセージは御用意されたのでしょうか。まさしく知事の行動が今後の協力体制にさざ波を起こす要因にもなります。 遠藤代議士ともしっかり連携し、政権与党である自民党にトンネル整備の必要性をしっかり理解してもらい、政府支援へとつなげていく必要があると考えますが、任期残り二年で事業化に道筋をつけるという意気込みで臨むのか、知事の本音をお伺いいたしたいと存じます。 次に、JRとの覚書について質問いたします。知事には要望活動についてお伺いしましたが、JR東日本との覚書、包括連携協定を踏まえた米沢トンネルの早期実現に向けた今後の取組についてお尋ねしたいと思います。 県は、協定も踏まえ、十一月には早速、やまがた鉄道沿線活性化プロジェクト推進協議会なるものを立ち上げ、今月二日にはフラワー長井線の車両からオンラインで第一回会合が開催され、県内四ブロックごとワーキングチームを立ち上げて具体的な方策を検討していくことで出席者間の了解を得たようです。協議会の内容を拝見すると、観光などによる交流人口の拡大、住民の利用促進、駅を中心としたまちづくりなどにより鉄道の利用拡大と地域の活性化を実現とあります。願意は理解できますが、これまでも各地で鉄道利用を図ろうという運動は様々行われてきておりますが、よい結果を生んだという話はあまり耳にしません。協議会の狙う大きな起点となり得るか非常に疑問です。米沢トンネル実現は直球の運動でなければできないのではないでしょうか。また、沿線活性化については、他地域での成功例などを参考にしながら、一歩一歩、理解・周知・実行するのが肝腎かと存じます。 加えて、トンネル整備の早期実現に向けては、福島県との連携を図ることも重要です。また、秋田県では、秋田新幹線の新仙岩トンネルの整備に関して、昨年七月に覚書を締結しております。本県が締結した包括連携協定は、一年前に覚書を締結した秋田県では締結されておりませんが、両トンネルとも多額の費用を要し、政府の財政支援が必要であることに違いはありませんので、連携を模索する必要があると考えます。 以上、今回の覚書と包括連携協定の締結を受け、今後、トンネルの早期実現に向けてどのような取組を進めていくのか、また、福島県や秋田県との連携をどのように進めていくのか、みらい企画創造部長にお尋ねいたします。 次に、コロナ後の国際交流の在り方と海外県人会を支える若手人材育成についてお尋ねします。 さて、今年はアメリカコロラド州姉妹県州締結三十五周年記念事業が開催される予定でありました。本来は昨年開催予定であったところ、コロナ感染症により一年延期した経緯がありました。県内における大きな豪雨被害を鑑み、周年事業は中止となりましたが、本当によかったのでしょうか。議会運営委員会でも発言しましたが、中止に至る経過をお聞きする限り、議会へは相談ではなく報告に聞こえてなりませんでした。坂本議長は、パスポートを新調までして万全な準備をしていたようです。 文化や交流は地味であっても、民間を含めて長く続けることに意味があるのではないでしょうか。 もがみ国際交流協会を例に挙げてみれば、何といってもブラジル・サンパウロFCとのサッカー少年団交流があり、来県した子供らが成長し、ワールドカップで選手として優勝を飾ったりもしており、相互往来は約三十数年に及んでおります。数年前には最上町の子供二十人近くがサンパウロFCを訪問し、山形県人会の方々とも花笠踊りをするなどして有意義な時間を過ごしました。 何か事があれば隅に追いやられる国際交流では、携わってこられた方々には残念でならないはずです。今回の中止により、次にコロラド州との周年事業を迎えるのは四十周年となる令和八年であり、十年のブランクができ、今後の展望はなかなか開けないものになるのではと想像し、また、山形県の国際交流の積極性のなさに失望するばかりです。 執行部では、二言目にはオンラインで代替していると答弁されますが、例えば、奥山議員が九月議会で質問されたインドネシアパプア州との戦後慰霊という特殊な関係構築は、とてもオンラインでは不可能な案件であり、早急な対策が求められております。今後の周年事業を見てみますと、明けて令和五年には中国黒龍江省ブラジル山形県人会、令和六年にはインドネシアパプア州となり、県の姿勢、真価が問われることになります。 まずは中止とされたコロラド州との周年事業、これからでも遅くはありません。ウインタースポーツが盛んな山形とロッキー山脈下に有名なスキー場を抱えるアメリカのコロラド州、まさしく冬つながりの今こそ本番の交流となるに違いありません。できない理由は何でしょうか。アメリカでは、中間選挙が終わり、コロラド州では現職知事の再選が決まり、タイミング的にもよく、再開へ向けてぜひ取り組んでいただきたいと思います。 今回コロラド州へ訪問する予定であった坂本議長の言葉をお借りすれば、国際交流とは、どちらか一方だけが訪問すればよいのではなく、訪れ、訪れてもらい、そして信頼を構築する、まさに相互の交流が大事と話されております。 これからも姉妹友好関係にある地域とは今後も周年の年を迎えることになるわけですが、新型コロナで止まっていた海外との交流が少しずつ動き始めた中、県では今後どのようにこれらの地域と交流を進めていくお考えなのでしょうか。 さらに、海外との交流ということでは、これまでも長い交流の歴史がある南米を中心とする海外山形県人会についても、次代を担う人材の育成を目的に、本県での技術研修員の受入れなどを行っておりますが、令和五年度予算要求では三百万円削減されており、全く残念であります。 次代を担う人材育成は急務でありますが、県では海外山形県人会を支えていく人材育成に向けてどのように取り組んでいくのか、併せてみらい企画創造部長にお伺いいたします。 次に、コロナ後のインバウンド戦略についてお尋ねします。 十月下旬から、山形日本香港協会、山形県タイ友好協会の会合が三年ぶりに山形市内で開催されました。私は、現在の香港の様子を少しでもかいま見られたらと思い、その香港協会の昼食講演会に参加しましたが、その前段として、私たち会派議員数名は、四年ほど前に、当時の参議院議員でもあり、今も山形日本香港協会会長である大沼みずほ氏の先達の下、香港行政視察に参ったのです。当時の香港行政府のナンバーツーの人物と昼食を共にし、現況を伺ったり、現在は在ウクライナ日本大使となっておられる松田総領事と今後の香港の可能性について意見交換したりするなどしたのですが、その後の香港をめぐる状況は一変してしまい、現在はちゅうちょが前提となってしまっています。 講演会での現行政府関係者の説明では、香港地区には対岸の中国本土の間にまだ未開発の区画があり、そこに様々な企業を誘致したい旨の話があり、加えて政情不安は一切ないとも述べられておりました。中国と日本を語るときに常に言われてきたことに「政冷経熱」という言葉がありますが、この状況は変わらないと思われました。 一方、山形県タイ友好協会総会では、新聞記事を見ますと、山形県の情報発信にタイのインフルエンサーを活用することがありました。折しも、先月にかけてタイから旅行会社関係者が東北を巡っている様子が報道されており、タイミングを逃すことなくプロモーションなどがなされる必要があります。九月議会で成立した補正予算には、ポストコロナに向けたインバウンド誘客の推進として一億円を上回る規模の予算がありますが、今後どのようなスケジュール感で重点五市場、台湾、中国、香港、韓国、タイへアプローチするのか、興味のあるところです。 そこで私は、先月中旬にタイ王国を訪問し、山形県がコーディネーター委嘱をしております高橋学氏に面会し、情報収集してまいりました。高橋氏は仙台市出身で、以前、東北観光推進機構ASEAN観光サポートデスクを務めていた経験があり、シンガポールにある自治体国際化協会に派遣されていた山形県職員とも一緒に仕事をしていたと話されており、現在までのタイ関係者とのつながりは当時の県職員が築いた財産でもあると言ってもよいと教えていただきました。 まず、インフルエンサーの活用については、インフルエンサーといってもピンからキリまであり、それにより契約金も違ってくること、また、ターゲットなど世代、男女間の相違、さらには旅行代金の絞り込みなども出てくるとのことです。一例を挙げれば、バンコクのいわゆるOLは月給が七万円から八万円。タイ国民の性格は、貯蓄をあまりせずに消費に回すことが常であり、日本への旅行代金は三十万円前後でも構わない、また、富裕層は百万円単位の旅行でも構わないと分析しておられました。参考例として、コロナ禍以前は、仙台・タイ線の航空路線があったため、仙台を中心に日帰りの旅行日程が組まれることが多くあった。仙台出身の高橋氏から見ても、山形県では山寺へのルートは確立したと言えるが、最上川舟下り、酒田舞娘はまだまだで、それらを組み入れた県内泊を特に目指す必要がある。今の時期は既に雪は終わり、春の桜をテーマに旅行商品をつくるべきで、桜前線を考慮しなければならないとの御意見を拝聴できました。 動き出しが早いことも旅行商品の特徴とも言えますが、仙台・台湾線の航空路線が一月十八日から再開というニュースもあり、私の調査も一部御参考にしていただきながら、県としていつ頃から、そして重点五市場にどのようにアプローチしていくのか、観光文化スポーツ部長にお尋ねいたします。 次に、畜産行政についてお尋ねします。 本県では、昭和五十年から肉用牛改良事業が始まり、当時は、本県をはじめ各県や団体等が競い合って兵庫県から但馬系の種雄牛を導入し、改良が進められたと伺っております。現在は、近親交配を避けるため、また、牛の能力を客観的に評価できる手法が確立したため、県外からの導入に頼ることなく種雄牛造成に取り組んでおります。本県では、平成七年度に県産種雄牛第一号の「貴平三」号が誕生し、これまで二十二頭の県産種雄牛が誕生するなど、「総称山形牛」の銘柄確立に大きく貢献してきたものと考えております。 十月、鹿児島県において第十二回全国和牛能力共進会鹿児島大会が開催されました。五年に一度開催される大会なので、生産者、各県の意気込みは相当なもので、それは、大会でその優秀性が認められれば和牛のブランド力向上に大きくつながると言われているからです。共進会の部門は、種牛の部と肉牛の部と二部門から成り、さらに八区分から構成されております。また、今大会からは、高校及び農業大学校から成る部が新設され、山形県からは置賜農業高校の「ひかり」号がエントリーしておりました。 今回、舩山、加賀両議員は、地元生産者がエントリーするということで、それぞれ違う日程で調査に出向きました。鹿児島県の熱意がすごいと感じられたことに、大会運営費八億円のうち県予算が四億円を占めているとのことです。半端でない金額と感じます。ちなみに、鹿児島県の令和二年次の農業産出額は四千七百七十二億円、うち畜産部門は三千百二十億円、全体の六五%となります。一方、山形県の農業産出額は二千五百八億円、うち畜産部門は三百七十六億円、全体の一五%となっており、状況が違うことをまず理解しなければなりませんでした。屠畜場は県内二十施設、牛の検査頭数は都道府県別では二位、豚では一位となっているようです。 私は、九月定例議会閉会後すぐの九日に、大会三日目に会場入りを果たしましたが、そのシャトルバスに乗車するのに約九十分並び、審査会場入りにまた六十分並ぶという洗礼に遭い、集中力を失ってしまい、さらには、イベント広場には家族連れなどがこれまたあふれており、山形県のブースは、山形県産米つや姫などを無料提供したということもあり、行列をつくっておりました。 今大会における山形県の成績は、報道にもあったように、前回宮城県大会よりかなりの好成績で、前回は二頭のみの優等賞であったものが、今回は、置賜農業高校のひかり号も含め、種牛の部の七頭全てが優等賞を勝ち取りました。畜産業をめぐる環境は、昨今、特に厳しいものがありますが、県が掲げてきた種牛の育成が軌道に乗りつつある成果の一つであると思います。大会で優秀な成績を収めれば、本県のブランド力向上にも大きくつながっていくものと思います。 そこで、五年後に北海道で開催される次回大会を見据え、消費者志向、生産者動向を参考に、今後どのような肉用牛改良の取組を行っていくのかを農林水産部長にお尋ねいたします。 また、出口論となる輸出拡大ですが、株式会社山形県食肉公社では、平成二十五年度から香港への牛肉輸出に取り組んでおりますが、県内には香港に輸出可能な対米基準を満たした施設がなく、岩手県内の施設を利用している状況です。山形県食肉公社の施設は約四十年が経過し、老朽化が進んでおり、平成二十九年頃から対米輸出基準を満たした新たな施設整備を検討していると伺っておりますが、コロナ禍もあり、検討が進んでいないように感じられます。 こちらは要望にとどめますが、結局のところ、利害関係者ばかりで話し合っても協議が進まないという状況であれば、県が積極的に関わらなければ前進せず、後れを取ってしまうと考えます。ぜひ県においては、山形県食肉公社の新たな施設整備に向け、なお一層の支援をお願いしたいと思います。 次に、畜産における飼料の価格高騰対策についてお尋ねいたします。 肥料、飼料の高騰は、農家全体を深刻な経営難に陥らせる状況にあります。 政府は、肥料の価格高騰対策として、化学肥料の低減に向けて堆肥などを代替利用する農業者に対して肥料費の一部を支援し、県も上乗せ助成することとし、予算化しております。しかし、方程式を解くように簡単にいくのでしょうか。最上地方の大規模畜産農家では堆肥の処分に頭を抱えているといい、北村山の大規模畜産農家は、毎週のように新聞紙上で完熟堆肥の販売をうたっています。そこで重要なことは、出てくる堆肥をいかに化学肥料の代替として有効利用できるか農家に具体的に示すことと考えます。支援策を一過性のものにすることなく有効利用することは、SDGsに資することにもなり、今後、研究していかなければなりません。 さらに、飼料については、輸入飼料原料価格が高騰し、配合飼料一トン当たりの価格は、令和二年度の六万七千五百五十六円から、今年の九月には約一・五倍の十万二百八十七円まで高騰しております。飼料の価格高騰対策としては、県でも緊急支援策として、六月補正、九月補正において配合飼料価格上昇分の一部を助成することとしておりますが、将来的に畜産経営の安定を考えたとき、自給飼料の生産を拡大していくことが重要であり、そのためには、最も有用な飼料となる子実用トウモロコシを全県下で栽培する必要があります。 現在、飼料用米については、課題はあるにせよ、生産は順調に作付が進み、今年の作付面積は五千二百三十六ヘクタールまで拡大し、生産量も増加していると伺っております。一方、近年注目されている子実用トウモロコシの作付面積については約六十四ヘクタールにとどまり、まだまだ少ない状況にあります。県内において子実用トウモロコシの作付面積をどのように拡大していくのでしょうか。それを打破していかなければ畜産業に未来はないと思われます。 畜産経営の安定のため、今後、自給飼料の生産拡大に向けて県はどのような対策を打ち出していこうとするのか、農林水産部長にお伺いいたします。 次に、新たな県立新庄病院についてお伺いいたします。 来年、令和五年十月一日に県立新庄病院は新しく開院します。病院は、最上地区の二次医療圏の中核をなすばかりでなく、地方独立行政法人日本海総合病院のように、医師会、薬剤師会、福祉関係団体などの多様な団体と連携し、県民へ安全安心な医療を提供されるものと大いに期待するところです。建物は、外観が少し薄緑色で、聞くところによると、新庄市にはかつて国の蚕糸試験場があり、その繭の色をイメージしたということです。位置的に庄内の鳥海山と内陸の月山が眺望でき、少しでも患者さんの癒やしになればと思います。新病院には総合患者サポートセンターが設置され、病院が行う入退院の手続案内等に加え、管内八市町村が共同で行う在宅医療・介護連携拠点及び最上保健所のサテライト窓口としての機能を設けることとして準備を進めていると聞いております。 一方で気がかりな点としては、例えば先日、障がいをお持ちの子供さんのいる保護者から「今、上山のこども医療療育センターに訓練などに通っているが新しい病院でできないものか」、また、日本海総合病院の歯科口腔外科に治療に行っている方が「歯科ができると聞いたが診てもらいたい」などと待ち望んでいますが、個々人の要望は尽きませんし、全てに応えることは医療的資源からいっても不可能です。 また、新庄・最上地区の方々から届いている要望事項についての進展具合はどのような状況なのでしょうか。新病院は、診療科目が現在の二十科から二十七科へと増えるとのことですが、必要な医師を確保できているのでしょうか。いまだ医師定数が示されておりません。平成三十年には関係団体より七項目にわたり要望があったと伺っておりますが、要望への対応などについては、関係者及び一般県民へ丁寧に情報提供を行っていく必要があると思いますが、現段階ではいまだ不十分です。 今後は、いわゆるハード設備が三月三十一日に建築業者から県へ引き渡され、開院までの中心はソフト、運営に比重が移り、膨大な作業が院長を中心に行われると思います。医療・福祉、市町村の医療機関、そして部局間との連携などを着実に進めていくことが重要と考えますが、コロナ感染症への対応に追われている中、スケジュール管理、協力体制は十分なのか、病院事業管理者にお伺いいたします。 次にもう一点、それは新病院へのアクセスです。 用地選定については、最上管内の市町村の要望を受け、JR新庄駅から徒歩圏で可能な場所になったと伺っております。県立中央病院などへは徒歩で通院する方はまれでしょうが、新庄病院はどうでしょうか。 現在、大蔵村では、村営バスが肘折温泉から役場、そして新庄病院、新庄駅と運行し、舟形町ではデマンドタクシーを利用して新庄病院へ通院する方がいます。やはり患者さんという立場になれば車を中心とした来院となるでしょうが、病院職員の電車通勤も含め、徒歩で新庄駅から病院に向かう場合、豪雪の新庄においては、冬の季節、市道、県道、国道の病院までの歩道除雪体制は整っているのか非常に重要です。現状、私が想定したルートで見る限り除雪は行われず、足元が滑りやすく危険な状態です。あえて取り上げたのは、今冬しか実地検分などの調査準備期間がないということです。JRの踏切が病院の目前にあることから、徒歩のルートのほか、バスのルートの安全運行の確保が必要です。 病院へのアクセスについて、市町村や交通事業者などの関係機関との連携は進んでいるのか、病院事業管理者にお尋ねいたします。 最後に、石巻新庄道路についてお尋ねしたいと存じます。 十一月、東北中央自動車道の開通が相次いでなされ、首都圏から最上地域まで一本でつながったことは大きなインパクトとなっております。高速交通網という言葉が発せられたのはいつの頃かは定かではありませんが、空港、新幹線、高速道が一体となり初めて調うとも言えます。 十一月二十日に行われた国道十三号泉田道路開通式には、秋田県選出の石井国土交通副大臣が出席なされ、「私の秋田まであと一歩、みんなで建設促進に頑張ろう」と呼びかけられました。また、遠藤代議士は、泉田道路建設に当たり旧建設省と山形県のやり取りの内容などのエピソードを披露され、改めて多くの方々が携わっていたことを再認識したところです。また、地元代表として山尾新庄市長は、この開通を契機として、これからこの地域を人が活躍する文化創造の地にしなければならないと謝辞を述べられ、非常に納得感のあるものでした。 しかし、県内をもう一度確認してみれば、高速道路のミッシングリンクは多く、さらなる運動、ストック効果などを説明しながら行う必要があります。例えば、新庄酒田道路、石巻新庄道路を見れば、新庄-酒田間は約四割の区間が開通し、約四割の区間が事業実施中と進展しておりますが、新庄-石巻間は、平成十年に候補路線になってから全く事業化が見通せなくなっているのが現状です。辛うじて国土交通省が指定する重要物流道路として指定は今春受けており、また、令和三年七月の新広域道路交通計画では、事業化を調査中ということになっているようですが、一体どこを調査しているのか、全く情報提供はないのでしょうか。 石巻を中心とする工業地帯、大衡村近辺の自動車産業、同じく岩手県南部の自動車産業は、酒田港に向けた安全性・定時性のある道路を求めています。先ほどの開通式での遠藤代議士の弁には次のような一節もありました。「新庄は縦横十字路の高速道路の交わる交通要衝。しかし、よく見ると新庄石巻間はどうなっているのか。今日は東北地方整備局からも幹部が出席しているようだが、早期に事業化してほしい」。その弁を聞いておられた東北地方整備局の幹部は、一様に首を縦に大きくうなずいておられました。私は、引き続いて開かれた祝賀会で幹部の方々に要望活動の了解をいただいたところです。 私たち関係地域議員は、これまで宮城県議会の地域議員と連携し東北地方整備局要望を行い、県土整備部長OBの当時の上坂副局長、同じく角湯企画部長などへも出向いております。また、最上町長などは、コロナ禍前には年に十回前後は東北地方整備局、本省、財務省へ要望に行かれていることは、県当局も認識されていると存じます。 県の考えはどうでしょうか。新庄-酒田間の整備状況をにらみながらと力加減をしていたのではありませんか。確かに政府の施策等に対する提案には掲載されますが、その熱意が感じられませんし、見えません。 今後どのような展開をお考えなのか、県土整備部長にお尋ねしたいと存じます。 以上、私の質問は終わります。御清聴誠にありがとうございました。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) おはようございます。伊藤議員から私に二問御質問を頂戴しましたので順次お答え申し上げます。 まず一点目は、令和五年度当初予算編成についてであります。 新型コロナウイルス感染症の世界的流行いわゆるパンデミックが始まってから三年が経過しようとしている中、本県でも、ウイズコロナに向けた新たな段階への移行、そしてその先のポストコロナの社会づくりが重要となってきており、令和五年度にはさらに加速してゆくものと考えております。これを踏まえますと、令和五年度予算の編成では、持続可能な財政運営を確保しつつ、新型コロナ及び資源価格・物価高騰等への対応や防災減災、急速に進展するデジタル化やグローバル化へのさらなる対応など、ポストコロナの県づくりに向けてアクセルを踏んでいくことが重要と考えております。 議員御指摘の農福連携や移住・定住施策を含む人口減少対策に見られるように、部局の縦割りを超えて検討・対応すべき行政分野は急速に増加してきておりますので、このたびの予算編成方針の中では、令和五年度県政運営の基本的考え方において掲げた人材育成や産業の生産性向上・高付加価値化などに向けて、二部局以上が連携して新たに取り組む事業に対し「施策展開特別枠」を設け、積極的に対応することといたしました。加えまして、「人的資本への投資」と「民間活力の導入」という二本の柱を新たに設け、本県の限りある人的資源や財政資源を、ポストコロナの県づくりに向けた未来への投資により、効果的に活用することとしております。 まず何よりも、地域発展の源泉は人でありますので、県内のあらゆる世代の方々の能力を高め、本県を支える人への積極投資を行います。また、大きく変化する社会環境の中で、よりよい県民サービスの提供を続けるためには、リスキリングなどを通した県職員の能力向上が不可欠であります。とりわけ国際人材の育成は急務と考えており、グローバル社会の中で、本県と世界をつなぎ、本県の魅力発信や県内の国際化を進めるため、県職員の語学研修の充実や海外派遣の実施を検討しております。また、定年引上げを見据え、行政経験豊富な高齢期の職員が、今後ともモチベーションを維持しながら、これまで培ってきた能力・知識・経験を引き続き県政運営に還元し、次世代に継承していただくため、高齢期の職員を対象とした研修の実施を新たに検討するなど、高齢期の職員をはじめ、全ての職員が働きやすい職場環境の整備に引き続き努めてまいります。 二本目の柱であります「民間活力の導入」につきましては、大規模な施設整備を伴うプロジェクトの推進に当たり、民間企業などのノウハウを生かし、効率的な財政投資によって施設整備を行うという原則を新たに示しております。これにより、厳しい財政状況の中にありましても、PPPやPFIなど民間活力の導入を通して、後年度負担を抑制しつつ、県勢発展に必要な基盤づくりに努めてまいります。 本県の構造的な課題は人口減少であります。今後二十年間で本県人口は二十万人以上減少すると見込まれておりますが、いかなる厳しい社会情勢、財政状況にありましても、山形県の将来に希望が持てるような政策に正面から取り組んでいかなければなりません。市町村はもとより、地域の皆様との連携を強め、県職員の力を総動員して、本県が世界の中で引き続き輝き続けるため、令和五年度予算では、ポストコロナの県づくりに向けた投資を本格的に進めてまいります。 二問目は、トンネル整備の早期事業化に向けた要望活動についてであります。 山形新幹線は、平成四年の開業以来、平成十一年の新庄延伸も経て、本県と首都圏を結ぶ県民生活やビジネス、観光などに欠かすことができない重要な社会基盤として、本県の発展に大きく貢献してまいりました。一方で、自然災害などにより、福島-米沢間を中心に山形新幹線の運休・遅延が多数発生しており、安定輸送の確保が喫緊の課題となっております。 山形新幹線米沢トンネル・仮称は、こうした輸送障害を抜本的に解決するとともに、本県と首都圏との心理的距離が縮まり往来が活性化することで本県経済の発展にも直結する、まさに山形県の未来を開く希望のトンネルであると申し上げてきているところであります。 米沢トンネルにつきましては、県とJR東日本との間で協議を重ねてきた結果、昨年三月、同社から時速二百キロメートル以上の高速走行が可能なルートが提示され、その具体的検討に向けた調査を県と共同で実施したい旨の提案を受け、県では、この提案が早期事業化に資するものと判断し、最初の共同調査となる地権者調査を予算化し、現在、その調査を実施しております。 また、さきの九月定例会では、トンネル整備の想定ルートの決定に必要なボーリング調査等の共同実施に係る令和六年度までの債務負担行為の設定について御承認いただきました。同調査の実施により想定ルートが固まれば、事業化に必要な調査が完了する予定でありますので、調査と並行して、政府の予算措置も含めた事業スキームの調整などを着実に進めてまいります。 一方で、トンネル整備は概算で約一千五百億円という多額の費用を要するため、JR東日本からは、整備に当たっては地元負担も含めた公的な支援を要するとの考えが示されております。本県の厳しい財政状況に鑑みれば、整備費の一部の負担であるとしても非常に大きな額であり、多額の財政負担は厳しい状況でありますので、沿線活性化を行い、JR東日本の受益効果を高めることと併せ、政府に対しても財政支援を求めていく必要があると考えております。十月には、JR東日本と「山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備計画の推進に関する覚書」を締結したところであります。同社とも連携しながら、関係者が一丸となって政府への提案や要望活動に取り組んでまいります。 要望に当たりましては、議員御指摘のとおり、遠藤代議士をはじめ、県選出国会議員の皆様にお力添えをいただき、政府与党へ働きかけていくことが重要と考えております。今年一月には、遠藤代議士はじめ本県選出国会議員及び経済関係者とともに国土交通大臣に対してトンネル整備に係る要望を行うとともに、JR東日本の社長とも意見交換を行ってまいりました。さらに、九月には、自由民主党の整備新幹線等鉄道調査会の下に設置され、国土交通省とJR東日本も出席する山形新幹線高速化勉強会に、座長でおられます遠藤代議士からお声がけいただき、県として初めて参加させていただいたところです。 米沢トンネルの整備は着実に前進しており、現実味を帯びてきた次なる段階へとステップアップしているものと実感しております。早期事業化の実現に向けて、ここからがまさに正念場であり、市町村や経済団体、県議会の皆様とも十分に連携するとともに、遠藤代議士、県選出国会議員の皆様のお力添えをいただきながら政府与党に要望活動を行うなど、オール山形の体制で、一日も早い事業化の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 大澤病院事業管理者。 ◎病院事業管理者(大澤賢史君) 新たな新庄病院について二点お尋ねがありました。 まず、診療機能に係る地域の要望への対応についてでございます。 新たな新庄病院は、地域で唯一の基幹病院として、時代が求める医療ニーズに応えるため、医療の高度化や多様化に対応した医療機能の充実を図るとともに、管内の関係機関との連携による地域完結型医療の提供に向けた準備を進めております。 地域の関係団体からの要望への対応としましては、まず、新庄市夜間休日診療所の新庄病院への機能移転については、これまで新庄市夜間休日診療所において初期救急患者の診療を担ってきた新庄市最上郡医師会の医師が新病院の地域救命救急センター内で応援医師として夜間休日診療に当たることとし、医師会、新庄市、最上保健所と実施に向けた協議を進めているところであります。 次に、障がい児とその家族の負担軽減については、こども医療療育センターの主治医から新庄病院での対応が可能であると判断された患者を対象に、新病院でリハビリテーションや薬の処方を行うこととし、受入れに際しての手続等について調整を進めているところであります。 また、口腔ケアを行う歯科の新設については、手術前後に合併症を発症する可能性への対応としまして、手術が決まった患者に係るスクリーニングを行い、処置が必要な場合には、入院前から外来で治療を始め、手術後まで院内でケアし、退院後は地域の歯科医院に紹介し、歯科における地域医療連携を推進することとし、紹介の手続や対象とする基準について、新庄地区歯科医師会と調整を進めているところであります。 これら以外の要望につきましても、関係団体と連携して取組を進めておりますので、今後、県民の皆様に対して、要望への対応も含めた新病院の機能強化について、県や市町村の広報媒体の活用や関係機関への情報提供などにより周知を図ってまいります。 また、医師確保につきましては、診療科の増設など新たな診療体制に対応するため、基本計画策定の時点から、様々な機会を捉えまして山形大学医学部に医師派遣の相談や要請を行ってきており、必要な医師は確保できる見込みとなっております。その一例としまして、新病院に開設予定の地域救命救急センターに配置する救急科の常勤医師一名については、令和五年一月から採用できる見通しとなっております。 新たな新庄病院は、地元の皆様から多大なる期待を寄せられておりますので、引き続き、「仁・愛・和」の基本理念の下、地域住民に信頼と安心の医療を提供し、最上二次保健医療圏唯一の中核病院としての使命を果たしてまいります。そのためにも、開院までの間、地域の保健、医療、福祉の関係機関としっかり連携しながら、丁寧かつ着実に準備を進めてまいります。 次に、通院や通勤に係る安全性・利便性の確保についてお答え申し上げます。 豪雪地帯に立地する新庄病院においては、降雪期の通院や職員の通勤の利便性を確保することが大変重要であります。その多くは自家用車利用でありますが、現病院の駐車場は狭く、特に降雪期には駐車スペースが狭くなり、来院者に不便をおかけしておりますが、新病院では、収容台数を約二百台分増やし、約八百五十台にするとともに、敷地内に排雪専用の区域を設け、降雪期にあっても十分な駐車スペースを確保することとしております。 路線バスにつきましては、令和元年度から、最上地域の公共交通に関する各種会議において、関係市町村、民間バス事業者等とともに、安全性や利便性の観点も考慮して、運行ルートやダイヤ、病院敷地内動線の見直しなどについて検討を続けてきましたが、現在新庄病院で発着している路線バスについては、全てが新病院にも乗り入れする見込みとなっております。 また、バス停については、病院建物の出入口付近に設置し、待合のための場所を病院建物の内部に設け、利用者の安全性・利便性・快適性に配慮することとしております。 JR新庄駅から新庄病院への徒歩によるルートについては、駅の東口から市道または国道を北進するルートなどが想定されますが、来院者や職員が降雪期においても安全に歩行できるルートを確保するため、今冬の除雪の状況等を調査の上、必要な場合には関係機関に働きかけをしてまいりたいと考えております。 新病院へのアクセスについては、こうした取組のほかにも、新病院南側の県道拡幅工事や国道十三号の信号機設置、南進車線の右折レーン増設など、最上総合支庁や警察、国土交通省などと連携協力して環境整備に取り組んでいるところであります。 開院まで残すところ十か月を切りましたので、引き続き、関係機関と連携を密にし、通院や職員の通勤における安全性・利便性の向上に努めてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 岡本みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(岡本泰輔君) 私には二問御質問をいただいておりますので順次お答え申し上げます。 まず、JRとの覚書・包括連携協定の締結を踏まえた今後の取組についてお答え申し上げます。 山形新幹線米沢トンネル・仮称の整備はビッグプロジェクトであるため、要望活動をはじめ、様々な取組を重層的に行っていく必要がございます。 十月二十四日にJR東日本との間で締結した「山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備計画の推進に関する覚書」では、トンネル整備計画の具体化に不可欠な調査の実施や事業スキームの検討、政府への働きかけを県とJRが協力して行うことを確認しました。この覚書締結を機に、事業スキームの確定に向け、同社とのさらなる協議を進め、沿線活性化を通じて同社の受益効果を高めるとともに、同社とも連携しながら、先ほど知事からもありましたように、整備費用への支援を政府等に働きかけてまいります。 また、トンネル整備の効果は、山形県内の鉄道ネットワークを通して県内全域にわたって波及するものであり、県内全域で鉄道沿線活性化や交流拡大に取り組むことで、山形新幹線及び同トンネルの受益効果を高めることにより、トンネルの早期整備にもつながるものと考えております。 これまで県では、多種多様な貨物の新幹線輸送や、霞城セントラルにおけるスタートアップステーション・ジョージ山形の開設などにより、鉄道輸送における付加価値向上や沿線におけるビジネスの活性化を図るとともに、駅前でのイベント開催などにより、駅を中心とした人の流れの創出に取り組んできました。 また、覚書の締結に併せて、JR東日本と「山形県内の鉄道沿線の活性化等に関する包括連携協定」を締結し、JR東日本ともより強力に連携して、鉄道沿線の活性化を推進する体制を構築いたしました。 さらに、こうした沿線活性化の取組を市町村などの地域の関係者とも連携して加速させるため、このたび、新たに「やまがた鉄道沿線活性化プロジェクト推進協議会」を設置しました。今後、県内外の先進的取組も共有しながら、具体的な方策の検討・実施を進め、県内全域にわたって取組を展開してまいります。 また、福島県、秋田県との連携も重要でございます。これまでも、トンネルの早期実現に向けて、機会を捉えて共に要望を行ってまいりましたが、今後は、沿線活性化の取組も併せ、両県と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。 次に、コロナ後の国際交流の在り方と海外県人会を支える若手人材の育成についてお答え申し上げます。 本県は、歴史的な背景や経済的な交流を契機として、三つの州省とそれぞれ姉妹友好の盟約を結び、訪問団の相互派遣や青少年交流、農業分野等での技術交流を積み重ねてきたところです。 令和三年に姉妹県州締結から三十五周年を迎えた米国コロラド州については、新型コロナの影響から訪問事業を一年延期し、今年度の実施に向けて州政府や現地の関係機関と準備を進めてまいりましたが、八月に発生した豪雨災害の復旧対策に全力で取り組む必要から訪問を取りやめた経緯がございます。 県としましては、コロラド州との交流を絶やさぬよう、県内の小学生や高校生のレベルにおいて、お互いの文化を理解する機会を設けることで交流の芽を育てているところです。また、十一月には、コロラド州側の日程調整等で大変な御協力をいただいたコロラド日米協会の役員の方に本県を訪問いただき、若い世代の交流促進など、これからの交流の在り方について幅広く意見交換を行ったところでもあります。 新型コロナの影響によりオンライン交流が一般的となる中にあっても、友好関係の発展、信頼関係の構築には、お互いが行き来してのリアルな交流が不可欠であると考えております。令和五年に三十周年を迎える中国黒龍江省をはじめ、本県との姉妹友好の盟約を結ぶ州省との交流については、相互訪問を基本としながら、直接の交流を行うことで、これからの友好関係をさらに発展させられるよう、関係機関ともしっかり調整を進めてまいります。 次に、海外の県人会につきましては、特に南米の県人会を中心として、会員の高齢化に伴う後継者の育成が長年の課題となっているところです。 これまで県では、将来を担う青年を海外技術研修員として受け入れ、母国の発展に貢献する人材育成の取組を長きにわたり実施してまいりました。ここ数年は、新型コロナの影響もあり、受入れができていない状況が続いておりましたが、今年度はブラジルとペルーから二名の若者を受け入れ、県民との交流も行いながら、ルーツである山形を体験してもらうこととしております。 今後は、本県における技術研修員の受入れに加え、海外県人会の協力も得て、将来の担い手となり得る、より多くの若者との意見交換の機会を定期的に設けるなど充実を図りながら、山形の文化や歴史への理解と関心を高めてまいります。さらに、現地で行われる県人会の創立記念事業においても、若者と県関係者等との交流の機会を設けるなど、多様な交流の機会を創出しながら、県人会の担い手としての人材づくりを図ってまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 西澤観光文化スポーツ部長。 ◎観光文化スポーツ部長(西澤恵子君) コロナ後のインバウンド戦略についてお答え申し上げます。 インバウンド推進による交流人口の拡大は、地域活性化を図るための重要な柱の一つであり、本県では、おもてなし山形県観光計画において、台湾、中国、香港、韓国、ASEAN等を重点地域に設定し、国・地域ごとの市場特性を踏まえて戦略的に誘客施策を展開してまいりました。コロナ禍による二年半のブランクを経て、インバウンドを本格的に復活させていくためには、本県を目的地として選んでもらうための情報発信と、県内への宿泊・周遊促進の二つが特に重要と考えており、九月補正予算により取組を強化したところです。 情報発信の強化については、動画やSNSなどによるデジタルプロモーションの展開に加え、東北観光推進機構などと連携して、影響力の高いインフルエンサーや現地メディアを招請するなど、広域周遊も見据えた発信を行っております。 本県への宿泊・周遊促進については、国際便が再開している空港から本県を訪れるツアーの造成を働きかけるとともに、外国人向けの鉄道割引パスを利用する旅行者を対象に重点的に観光PRを行っているところです。海外におけるプロモーションとしては、現地コーディネーターと連携したセールスを行っており、先月の台湾で開催された商談会への参加を皮切りに、タイ、香港、韓国において、順次商談会や旅行博への出展を行ってまいります。 御紹介のありましたタイについては、親日的で有望な市場であると認識しておりまして、本県としても、デジタルマーケティングによる分析を基に、健康や自然の中での体験に関心が高い都市部の三十代、四十代をターゲットに設定して、人気の高いスノーコンテンツ、出羽三山などのパワースポット、自然と伝統文化を同時に感じられる最上川舟下りなど、本県ならではの魅力を現地で利用者の多いフェイスブックを利用するなどして情報発信を強化しているところです。加えて、本県の桜の時期である四月は、旅行需要の高いタイの旧正月「ソンクラーン」とも重なる絶好の機会であることから、引き続き早期の旅行商品の造成を促してまいります。 今後とも、一刻も早い観光需要の回復に向けて、重点市場の特性に応じた施策を先んじて展開し、インバウンド誘客を図ってまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 地主農林水産部長。 ◎農林水産部長(地主徹君) 県の肉用牛改良に係る取組についてお答えいたします。 本県では、山形生まれ・山形育ちの「総称山形牛」の生産拡大を図るため、優良な種雄牛及び繁殖雌牛の確保に取り組み、肉用牛の改良を推進しております。具体的には、優秀な県産種雄牛の造成に取り組んできており、その結果、平成十三年度には肉質に優れた「安秀一六五」号が、また、平成十九年度には肉質及び肉量ともに優れた「平忠勝」号のほか、本年七月には、歴代の県産種雄牛で脂肪交雑が最も優れる「幸紀陸(さきりく)」号がデビューいたしました。 こうしたこれまでの取組もあり、今年十月に鹿児島県で開催された全国和牛能力共進会においては、種牛の部で七頭全てが優等賞を獲得するなど、これまでにないよい成績を収めることができました。 一方で、近年、健康志向の高まりなどから、脂肪交雑が少ない赤身主体の牛肉に対する消費者の関心が高まっています。また、口溶けがよく食味性の向上が期待される脂肪酸として、牛の体内で作られるオレイン酸が着目され、全国和牛能力共進会鹿児島大会において新たに評価の対象とされるなど、脂肪の質の改良が重要視されるようになっております。加えて、グローバル化の進展を背景とした国内外での産地間競争の激化が見込まれるなど、高品質な「総称山形牛」の生産に向けて、さらなる優良な種雄牛及び繁殖雌牛の確保が重要な課題となっております。 このため、近年、改良スピードを速めるための手法として導入されてきた、DNAの情報から肉量や肉質の遺伝的能力を評価するいわゆるゲノミック評価技術を活用した繁殖雌牛の改良に加え、消費者ニーズやオレイン酸に着目した肉質の改良をなお一層推進していくことが重要であると考えております。 県といたしましては、今後とも、オール山形で取組を推進し、肥育技術の向上や、肥育素牛を生産する和牛繁殖雌牛の改良と増頭を進めるとともに、五年後の全国和牛能力共進会でよい成績を残せるよう、生産者や関係者と十分に意見を交換しながら、肉用牛改良を推進してまいります。 次に、飼料価格高騰に対する今後の取組についてお答えいたします。 令和三年度における日本の飼料自給率は、稲ホールクロップサイレージなどの粗飼料は七六%、トウモロコシなどの濃厚飼料は一三%、飼料全体では二五%にとどまり、国内の飼料価格は世界情勢の影響を受けやすいものとなっています。政府では、こうした輸入依存からの脱却を図るため、令和十二年度の飼料自給率目標を飼料全体で三四%に設定し、種々の事業を展開しております。 本県においても、自給飼料の生産と利用拡大を推進するため、飼料収穫機械の導入を支援するとともに、飼料作物の栽培実証を行うなど、ハード、ソフト両面から飼料コスト削減に向けた支援に取り組んでいるところです。 中でも、稲ホールクロップサイレージは、水田において主食用米と同様に作付できることから、県内の栽培面積は拡大しており、令和四年度は過去最大の一千百十五ヘクタールに達しました。特に、昨年度、県が育成し、品種登録出願した山形飼糯(しもち)百三十八号については、茎葉の収量が多く、主食用米の収穫前に収穫できるという特徴があり、稲ホールクロップサイレージ専用品種として今年は二十六・九ヘクタールに作付されており、引き続き実証調査を行いながら作付面積の拡大を図ってまいります。 また、価格高騰が著しい輸入トウモロコシの代替として全国的に注目されている子実用トウモロコシについては、耕種農家にとっては省力栽培が可能なこと、畜産農家にとっては高栄養価の穀物飼料の確保が可能なことなど、相互にメリットがあることから、県内でも年々作付面積が増加しているところです。一方で、子実用トウモロコシの生産利用拡大に当たっては、新たに収穫機械や乾燥施設の整備が必要であるとともに、保管場所の確保や利用する畜産農家とのマッチングなど、様々な課題があることも認識しております。 県といたしましては、耕種農家及び畜産農家の理解醸成に努めながら耕畜連携を推進するとともに、飼料生産組織であるコントラクターの育成や自給飼料の流通体制確立への支援を強化するなど、自給飼料の確保にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) 石巻新庄道路についてお答え申し上げます。 石巻新庄道路は、広域連携の強化、産業・観光振興の面などで大きな効果が期待される重要な路線と考えておりまして、これまでも、機会を捉え、継続して政府に対し事業化に向けた調査着手を要望してまいりました。また、新広域道路交通計画の策定に当たっても、県の幹線道路協議会で有識者等から御意見をいただき、宮城県とも調整を図りつつ東北地方整備局と協議を重ねた結果、令和三年七月に高規格道路の調査中区間に位置づけられたところでございます。このことにつきましては、県議会議員の皆様をはじめ、沿線自治体や商工会議所等における要望活動において、石巻新庄道路の必要性を地域の声として届けていただいたことも後押しとなりました。 一方、東北中央自動車道は、今年十月に最上地域までが首都圏と結ばれ、新庄酒田道路も着実に整備が進んでいます。この整備効果をより発揮していくためには、新庄酒田道路の早期完成とともに、石巻新庄道路が早期に調査着手してもらえるよう、県としてもしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。 これまで、東中道や日沿道などでは、開通を見据えた産業や観光分野などでの沿線自治体の取組事例や整備効果について、プロジェクトマップとして県が作成し、要望時などに活用し必要性を訴えてきたことが事業の効果的な進展につながったところでございます。このため、石巻新庄道路でも、期待される効果と将来を見据えた取組などをまとめたプロジェクトマップを活用し、整備の必要性を訴えていくことが効果的であると考えております。例えば、沿線の産業振興や観光誘客、交流人口の拡大による地域活性化などの効果のほか、太平洋側と日本海側を最短距離で結ぶ石巻新庄道路の整備は、酒田港の貨物取扱量の増加や大型クルーズ船の寄港による観光面の効果なども期待されるところでございます。 県としましては、プロジェクトマップ作成の検討に当たって、宮城県や新庄市、最上町、大崎市など沿線市町に加え、商工会議所など関係機関とも連携を図りながら進めることで、一体感を持った要望活動につなげてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時三十五分再開いたします。     午前十一時二十四分 休憩     午前十一時三十五分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二十六番高橋啓介議員。 ◆26番(高橋啓介議員) おはようございます。県政クラブを代表して質問いたします。 災害は忘れた頃にやってくる--この言葉は死語になっている感があります。大量の石油や石炭などの化石燃料の消費による大気中の二酸化炭素濃度の増加による地球温暖化は、気候変動の要因の一つとなっており、近年の大規模・頻発化する自然災害を引き起こしております。「災害は毎年やってくる」、そんな時代に入っていると言えるのではないでしょうか。 県の公共事業に目を向けますと、災害の大規模化により、災害復旧に伴う繰越明許費と当初予算によって執行する事業費は以前にも増して膨大なものになってまいりました。加えて、新型コロナウイルス対応も丸三年となり、このところ新型コロナ感染者数は高水準で推移し、先日、知事は、感染の第八波に入ったとの認識を示され、依然として予断を許さない日々が続いております。さらに、今年に入ってからは、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した原油価格・物価高騰が県民生活や企業活動に広く影響を及ぼしており、執行部と県議会が活発な意見を交わしながら、様々な支援策に取り組んでいるところです。 「新理想郷山形」を目指す吉村県政におきましては、健全な執行体制、とりわけ労働安全衛生に配慮いただき事務の執行に努めていただきたいと思います。 先日、特別委員会の視察で東北中央道を利用して秋田県に行ってまいりました。ミッシングリンクの解消によって大幅に所要時間の短縮につながり、地域の活性化や観光振興、そして病院等の救急搬送と、その効果は大なるものがあると感じました。これまで御尽力いただきました吉村知事はじめ関係者の皆さんに心から感謝を申し上げます。県境の課題はまだ残されておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。 それでは質問に入ります。 最初に、幸福度ランキングを踏まえた今後の県政についてお尋ねいたします。 日本総合研究所が二〇一二年からに二年ごとに公表しています都道府県の幸福度ランキングで今年は七位に輝きました。すばらしい結果であり、官民挙げて頑張っている成果ではないでしょうか。特に、本県は、全国で唯一、調査開始から一貫して順位を上げていると言われております。初回の二〇一二年、吉村知事一期目の最後のランキングは三十一位でしたが、二〇一四年二十七位、二〇一六年二十二位、二〇一八年十位、二〇二〇年八位、そして本年が七位とランクを上げております。本当に喜ばしいことだというふうに思います。 特に、「正規雇用者比率」が一位になっていることは、社会の安定にも結びつくもので、事業主の努力と県政における正規雇用政策が功を奏している表れであると言えます。また、「一人暮らし高齢者率」が一番低い県になっており、雇用と家族の支え合いのある本県の特徴が形になったものと言えます。さらに、トップクラスに「選挙投票率」の高さと「待機児童率」の低さが一位、「健康診査受診率」や「地域子育て支援拠点箇所数」がいずれも二位、また、基幹産業の農業の「食料自給率」はカロリーベースで三位となっており、日々の暮らし方や取組が評価されたものと思います。 この客観的評価を県民の皆さんと共有していくことが今後の県勢発展にも資するものと考えます。そして、「障碍者雇用率」や「留学生数」「事業所新設率」など、ランクが低位にある課題をどう政策として取り組んでいくのか。「真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向け、若者や女性の県外流出に歯止めをかけることにつながるよう取組を進めていくべきと考えます。 新年度に向けての県政方針にも示されましたが、吉村知事の今後の県政に臨む考えをお尋ねいたします。 次に、平和に関する知事の所感についてお尋ねいたします。 ロシアにおけるウクライナ侵攻から十か月が過ぎようとしております。ウクライナ支援に当たって、アメリカなどは軍事支援を行っていますが、これではいつまでたっても終わりのない戦いになりはしないのか疑問に思っております。経済制裁も有効とは思いますが、さらなる外交努力が求められていると思います。 今年の参議院選挙では、防衛費を二倍に増やす話や核の共有まで持ち出され、国の形が大きく変わる不安を覚えた方々もいたのではないでしょうか。軍拡によって国際社会の安定は保たれるのでしょうか。戦後七十七年を迎えましたが、この取組をどう継続していくのか。与野党がイデオロギーにとらわれることなく戦争のない国づくりをどう進めていくのか、冷静に考え行動していくことが大切と考えます。 元総理大臣であった田中角栄氏が生前、「戦争体験者がいる時代は心配ないが、体験者がいなくなると心配だ」と、また、ベトナム戦争にアメリカから兵力を要請されたとき、「憲法九条があるから駄目だと断れ」と当時の官僚に話していたとのことです。今年は、中国と国交五十周年を迎えることができましたが、当時の田中角栄総理が大変な決断の中で、違いを乗り越えて国際平和を求め努力していただいたことが戦後の平和社会を築いてきた土台となっていると痛感しております。 まさに、戦争の悲惨さや核兵器の脅威を肌で感じ、世界の平和を希求し続けてきた政治家のありようを学んでいくことが私たちに求められていると思います。多くの取組があって戦後が形づくられており、子らの未来のために誤りのない対応を模索していかなければなりません。 戦後生まれが八割を超え、戦争の悲惨さや飢えとの闘いを知る世代は少なくなり、それに加えて、北朝鮮による弾道ミサイルの異常なまでの発射の繰り返しが続けば、防衛費の増強に走ろうとする流れが出てくることは明らかであると思います。加えて、これまで日本が国際的に表明してきました専守防衛から敵基地攻撃能力への強化に進むことによって、隣国や国際社会から見る日本の姿は軍事大国化を目指す国と位置づけられるのではないでしょうか。戦後一貫して、戦争によって貴い命を奪ったり、奪われたりしなかったこの重みを重く受け止めることが最も大切なことではないでしょうか。 ぜひ、吉村知事にあっては、東日本大震災後に発信した「卒原発」の発想で、日本の行く末を大きく左右する防衛費の増強に対して、政治家としてしっかり発信することが今求められていると実感しています。防衛費増強の果てに何が待っているのか、銃による悲惨な事件が幾度となく発生しているアメリカでなぜ銃の規制ができないのか、そのことが私たちに行く末を教えているのではないでしょうか。 知事の考える平和のありようについてお尋ねいたします。 次に、多様な生き方を認め合える社会の推進についてお尋ねいたします。 今年の十月三十日、多様な性を認める社会をつくろうと、山形初のプライドパレード「やまがたカラフルパレード」が開催され、私も一緒に参加させていただきました。性的少数者に対する住民の理解を広げるための手段として全国各地で行われており、東北では山形が最後とのことでした。百七十名を超える方々が参加し、山形市の第二公園から旧県庁まで歩いてパレードを繰り広げていただきました。関係者の努力に感謝を申し上げる次第です。一昔前であれば考えられない行動だと思います。ようやくLGBTに関して徐々に理解が進んでいるものの、偏見や差別は今なお根強く残っていると言えます。 二〇二〇年の電通ダイバーシティ・ラボの調査によりますと、日本には約八・九%の性的マイノリティーに属する人がいると言われています。四十人のクラスがあれば、三人から四人の性的マイノリティーの方がおり、そのことを念頭に置いて対応することが大切であると言われています。 それでは、どんな差別や偏見が行われてきたのか。当事者団体でありますLGBT法連合会の公式サイトによると、学校における差別やいじめでは、「男のくせに」「気持ち悪い」「おかま」「ホモ」「レズ」などといった侮辱的な言葉を投げかけられ、自尊感情を傷つけられた。先生の無理解によって「誰にもばれたくない」という思いを抱くようになり、相談相手・場所も見つからずに不登校になった。 また、就職にあっては、「男性」「女性」の選択肢しかない履歴書の性別欄で悩まされる自分の問題に加え、就職活動でカミングアウトした際に面接を打ち切られたり、内定を取り消されたりするケースがある。就労面では、同性愛やトランスジェンダーをネタにした冗談やからかいといったハラスメントのほか、昇進・昇格に影響を及ぼす場合もあった。さらに、福利厚生面でもパートナーやその子供が法的な配偶者や子供と認められず、既婚者であれば当たり前のように受けられる扶養手当・家族手当、育児休暇や看護休暇の対象にならないことも多い。 医療と社会保障の面では、戸籍上の性と心の性が一致しないことから医療機関を見つけることが困難だったり、受診自体を断念し症状が悪化してから受診することが多い。また、パートナーの場合、相手に外科手術が必要となった際、親族として認められず手術の同意書にサインもできない。相手が意識不明の状態で入院しても、医療機関から安否や治療内容に関わる情報を教えてもらえず、中には面会すら断られるケースもあるという。また、公的面においては、税の配偶者控除や死亡した際の遺族年金など、様々な社会保障を受けることが難しい状況にあります。 このような環境の中で、LGBTの方々の自殺率が著しく高くなっている実態が明らかになっています。一昨年の九月に埼玉県による性的少数者に関する調査で、無作為に選んだ県民の三・三%が性的少数者に当たり、このうち六割強の人が自分の死を考え、性的少数者以外の人の二倍以上の割合になっており、精神的に追い込まれている実態が浮き彫りになっております。本来子供を守る立場の親であっても、性同一性障害に対する基本的考えが確立していない中で、親子にとっても苦悩の連続であったと推察されます。 国にあっては、社会的不利益を解消するため、平成十五年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が議員立法で成立しました。また、学校現場における性同一性障害に関わる児童生徒への支援についての社会の関心の高まりから、その対応を求められるようになり、相談業務の徹底や全国における対応状況の調査等を行い、平成二十七年に文部科学省は性的マイノリティーの児童生徒全般に配慮を求める通知を発出し、平成二十八年には教職員向け手引を作成し公表しております。 それらを受けて、県の教育委員会としてどのような対応を行ってきていただいたのか、そして、現状を受けて今後どう進めていかれるのか、高橋教育長にお尋ねいたします。 また、この課題は、社会全体として個々人の人権を守る取組でもあり、長年にわたって誤った捉え方をしてきた世論を変える取組でもあると考えます。 東京都は、二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれている理念の下、条例化を進めました。オリンピック憲章には、性別、性的指向による差別の禁止が明記されています。これは、ロシアが同性愛宣伝禁止法を制定したことがきっかけとなって盛り込まれたものでした。 今や世界的にも、LGBTに関する差別を禁止する法律は、EU加盟国の全てとカナダ、アメリカなどを中心に、二〇一九年時点で八十か国を超えているとのことです。また、G7のうち日本以外の全ての国でLGBTに関する差別を禁止する法律が整備されています。残念ながら日本は、基盤となる法律がないことで性の多様性に関する適切な政府からのメッセージ発信や啓発が行われず、差別や偏見が放置され、結果として個々人の尊厳が守られない社会になっています。日本における法体系の整備が急がれます。 今日の状況を受けて、本県で何ができるのか。LGBTに関する偏見と差別の現状を周知することや専門的見地での相談窓口の設置、そして自治体職員はじめ教職員の研修が重要と考えます。さらに、県内全体にこの課題を共有していただくため、市町村と一体となった対応が求められていると思います。これらを取り組むことによっていじめや自殺者の減少に結びつき、あらゆるマイノリティーの方々の人権を大切にする県政になっていくものと確信しております。 本県として、条例の制定を含め、偏見と差別のない社会をどう描いていくのか、吉村知事の今後の対応をお尋ねいたします。 次に、指定管理施設の電気料等高騰に伴う支援等についてお尋ねいたします。 指定管理者制度が平成十八年四月からスタートして今年で十六年目になりました。これまでの推移を見ますと、制度導入当初は、民間事業者のノウハウを生かし、施設管理や運営に対しこれまで以上のサービスを住民に提供するとうたって動き出しましたが、導入当初は大幅な人件費の削減が目的であったとも言えたのではないでしょうか。この課題についてはこれまでも指摘し、削減ありきの流れから安定的な管理運営に移行し、その結果、指定管理者の八割を超える事業者が少なくとも二期連続して管理運営に携わるなど、腰を据えた施設の運営管理を行うことができていると推察いたします。 一方、人件費にあっては、最低賃金が毎年引き上げられ、加えて自治体における会計年度任用職員に対する一時金支給の処遇改善も行われている中で、私は、それらを十分に加味した指定管理料の改善・増額が必要と考えます。加えて、指定管理期間が三年ないし五年では果たして安定的な管理運営が将来的に保障されるのか、また、若者の安定した雇用に結びつけられるのか、非正規雇用を助長しないかなど、指定管理者の経営と雇用の安定が計画的に保たれるよう、県は持続可能な指定管理者制度の在り方を追求していくべきと考えます。 その中でも、特に喫緊の課題となっている電気料等高騰に伴う対応についてお尋ねいたします。 昨今のエネルギー価格高騰の影響を受け、電気料金の高騰が過去に類を見ないほどの上昇を続けてきております。政府にあっては、令和四年九月九日の第四回物価・賃金・生活総合対策本部において、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細やかに実施する地方公共団体の取組に、より重点的に効果的に活用される仕組みへと見直しを図りつつ、対策を一層強化するため、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を令和四年九月に創設しております。 また、令和四年十月十一日付の総務省自治行政局行政経営支援室長の通知文「原材料価格、エネルギーコスト等の上昇に係る指定管理者制度の運用の留意点について」では、日本銀行が毎月発表する企業物価指数において四十一年ぶりの上昇水準になっていると、今日の異常な値上がりに注目し、技術的な助言を行っております。 本県の指定管理者制度においては、県が定めるガイドラインで県と指定管理者のリスク分担の考え方が示されているものの、このたびの電気料等高騰の流れは、いまだかつてない想定外の値上がりであり、このリスク分担の考え方を超えるものと考えます。特に、集客施設にあっては天井が高く、空調効率が悪く、光熱費の負担は指定管理者の大きな負担となり、経営に支障を来すことが想定されます。 速やかに県で支援等を講じていくべきと考えますが、総務部長の考えをお尋ねいたします。 次に、労働者協同組合法の趣旨を生かした地域づくりについてお尋ねいたします。 今年の十月一日から議員立法により労働者協同組合法が施行され、新たな労働のスタイルが生まれました。社会通念上の雇用関係は、使用者と労働者に明確に分けられていますが、労働者協同組合法によって新たに法制化された労働者協同組合は、組合員が出資・経営・労働という三つの役割を担うことを基本としております。 使用者の指揮命令下での労働のみならず、事業運営に意見が反映されることへのやりがい等も期待でき、多様な働き方が生み出され、新たな雇用機会の創出に期待が持たれています。この法律では、組合と組合員との間で労働契約の締結が義務づけられ、労働者としての保護も図られることになっており、このたびの法整備によって地域活性化に資するとの歓迎の声も出ております。 少子高齢化が進み人口減少が著しい地域においては、介護・障がい福祉などの幅広い分野で多様なニーズが生まれていますが、これまで、経営上の理由から企業の参入が困難なため、法人格を持たない任意団体が事業を行ってきました。このたびの労働者協同組合法の成立によって、労働者協同組合として法人格が与えられ、かつNPO法人よりも簡単な手続で設立できるため、例えば学童保育、まちづくりなど、地域の需要と合致した事業が誕生し、多様な雇用機会につながり、担い手が増えることが期待されます。 厚生労働省にあっても、このたびの法制化を受けて全国でブロックごとに啓蒙活動を行っており、先進的な事例を紹介しながら地域に労働者協同組合を広めようと努力いただいております。 本県にも、制度の周知を求めて日本労働者協同組合連合会の代表が知事に要請行動を行っておりましたが、県内における本制度に対する認識はまだまだ低いと思われます。労働者協同組合を監督する立場の県としても、地域活性化そして人口減少に歯止めをかける対策の一つとして、市町村はじめ多くの人に積極的に周知していくことが必要ではないでしょうか。 県内の学校の統廃合を見ても明らかなように、中山間地の集落にあっては、人口流出によって過疎化が進み、歯止めがかからない現状になっています。果樹農家の担い手不足や荒廃農地の活用、高齢者福祉等の仕事を組み合わせるなど工夫することで、労働者協同組合をつくってやってみようという方が出てくると思います。そうすれば、長年住み慣れた土地で人生を終えることができるようになります。こうしたことも幸福度を増す手段の一つと考えます。 ぜひ、県としても、好事例を紹介しながら、県全体に労働者協同組合の取組を広げることを提案したいと思いますが、今後どのように取り組んでいく考えか、産業労働部長にお伺いいたします。 次に、山形ニュータウン構想の推進についてお尋ねいたします。 山形ニュータウン構想は、行政主導で進められた区画整理事業ですが、今から八年前の二〇一四年二月に事業が完了しました。二〇〇三年七月に第一期分譲を開始し、抽せんの平均倍率が三・六倍とまずまずのスタートをしましたが、その後の分譲が伸び悩み、二〇〇六年四月に開校した山形市立みはらしの丘小学校は、当初予定のほぼ半分の八十名の児童でスタートしております。児童の推移を勘案してか、中学校にあっては近隣の山形市立第九中学校に通学することになり、その状態が今日まで続き、増え続ける生徒の現状を受けて、山形市は現校舎の増築を計画しております。計画戸数が千七百戸でありましたが、現在、千戸を超える住宅団地になっています。 良好な居住環境が提供されることを期待し、土地を求めて移り住んだ方々からすれば、当初計画とあまりにも違い過ぎ、言葉にならない、諦めのようなものを感じています。建設が予定されていた中学校も、さらに、治安に貢献する予定の交番所も設置されず今日を迎えています。特に、中学校は、約三キロ離れた山形市立第九中学校に防犯灯も不十分な通学路を二百名を超える生徒が通っており、夕暮れが早まる今の時期は通学路の安全が不安視されています。また、核となっている中核施設は設置されず、具体的な計画さえいまだ示されておりません。当初計画と比較すれば、まさに極めてずさんな区画整理事業に終わっていると言えます。 また、居住地に入る主要地方道山形上山線の道路には、いまだ右折の信号機は設置されておらず、帰宅時間には渋滞を来し、残念なことに事故の発生にも結びついている現状にあります。このような状況を少しでも改善しようと、町内会が努力を続けております。果たして町内会の努力に委ねる課題でしょうか。 現状の話を伺い、自分自身も申し訳なく思いました。山形ニュータウン構想を決める際に山形市議会議員として関わり、議論に参加してきた一人でもあり、分譲当初の売行きはよかったので順調に進んでいるものと思っておりました。 この事業をこのままにしておくことは、行政との信頼関係を大きく損なうことになってしまいます。責任を持って住みよい環境と中核施設の提供を行うべきと考えます。 先ほども申し上げましたが、生徒の通学路の安全確保は急を要する課題であり、県として何ができるのか。信号機の右折にしてもしかりであります。ましてや中核施設にあっては早急に検討を進めるべきと考えます。 中核エリアのこれまでの経緯を申し上げますと、県と山形市が事業主体となり、当初山形大学小白川キャンパスを移転させることを軸に構想がスタートしました。しかし、一九八七年七月、山大は移転断念を表明。このほか、霞城公園内の県立博物館の移転や日本赤十字病院の誘致構想も浮上しました。また、山形勤労者総合福祉センター山形テルサの建設が決定するも、整備主体となる雇用促進事業団の廃止が決定したため、山形テルサは建設先が山形駅西口の再開発区域に変更となってしまいました。二〇〇一年春には山形市が東北福祉大学に用地約三ヘクタールを無償提供し、新キャンパスを誘致する方針を表明しましたが、福祉大がキャンパスを必要としない通信教育部を設置したい意向を示し、新キャンパス構想も白紙となった経緯があります。結局、中核エリアには県がミュージアムパーク、山形市が中核施設を整備することとなり、現在はミュージアムパークのみが完成しております。 こういった課題が残っておりますが、県としてどう対応していかれるのか、県土整備部長にお伺いいたします。 最後に、今日の未明に行われましたサッカーワールドカップ、八強入りを目指してクロアチアと果敢に戦っていただきました。もう一歩及びませんでしたけれども、多くの国民に感動と勇気を与えていただきました。日本選手の皆さんの活躍に感謝を申し上げながら、代表質問を終わらせていただきます。
    ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 高橋議員から私に三点御質問を頂戴しましたのでお答え申し上げます。 まず一点目は、幸福度ランキングを踏まえた今後の県政についてであります。 去る九月二十八日に一般財団法人日本総合研究所から公表された全四十七都道府県幸福度ランキング二〇二二年版におきまして、本県は、前回二年前の八位から一つ順位を上げ、七位にランクされました。率直に申し上げて大変喜ばしいことと考えております。 この幸福度ランキングは、政府の統計データなどを基に、人々の幸福度と関連性が高いと判断した客観的な八十の指標を用いて算出されております。日本総研からは、「仕事分野における正規雇用者比率や高齢者有業率の高さ、生活分野における独り暮らし高齢者率の低さと持家比率の高さなどから雇用の安定と家族の支え合いによる幸福な社会生活の基盤が充実している」とのコメントをいただきました。市町村をはじめ関係機関や事業者の皆様の取組、そして何よりも県民の皆様の日々の暮らしぶりなどが目に見える形で評価されたものと受け止めております。 このたびの結果につきまして、県民の皆様にも広く知っていただき、自信を持っていただきたいと思っておりますし、県としましても、本県の大いなる強みとして積極的に情報発信を行ってまいります。 しかしながら、「留学生数」や「障碍者雇用率」「事業所新設率」など、全国的に見て順位の低い指標もありますので、これらは明確な課題として、本県の実情や背景などもしっかりと把握しながら改善に向けて取り組んでまいります。 一方で、幸福度につきましては、様々な機関で調査・公表しておりますが、意識調査における県民の幸福実感度は必ずしも高くないという結果があります。 株式会社ブランド総合研究所では、「あなたは幸せですか」というシンプルな問いに対して、「とても幸せ」から「全く幸せではない」までの五段階で評価する、いわば回答者の主観に基づく調査を毎年実施しております。この調査結果では、今年の本県の順位は二十九位となりました。一昨年の四十位、昨年の三十四位から年々順位を上げてきているものの、日本総研の調査とは大きく異なる結果となっております。本県の謙虚な県民性などが関係している可能性も考えられますが、県民の幸福実感度が高くないという調査結果は、真摯に受け止めなければならないと考えております。 こうしたことから、今年度、二千五百人の県民を対象とする県政アンケートにおいて、新たに幸福実感度に関する質問を設定し、その回答内容の分析を行うとともに、有識者の意見もお聞きするなど、調査・研究を進めているところです。 あわせまして、令和五年度の県政運営の基本的考え方においても、施策展開の主な方向性の一つとして、「県民が幸せを実感できる暮らしやすい『やまがた』へ」を掲げたところであります。医療や福祉、貧困対策、さらには孤独・孤立対策といった幸福の基礎条件・土台ともいうべき施策はもとより、本県で暮らすことの肯定感の向上、本県ならではの地域資源やライフスタイルなどの価値を見詰め直すきっかけづくりや機運の醸成といった、県民の幸福実感度向上につながる取組を新たに展開してまいりたいと考えております。 幸せの形は人それぞれではありますが、豊かな自然環境や食文化といった地域資源に恵まれ、安定した雇用や生活環境が整った、ここ山形県で暮らすことのすばらしさをいま一度みんなで語り合い、よいところにも目を向けていただきたい。そして、多くの県民の皆様が幸せを実感し、また、それを発信することで若者・女性の定着・回帰などにもつながるものと考えております。 客観的なランキングの評価を追い風にしながら、県づくりの基本目標であります「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向けて、県民の皆様とともに、粘り強く、しっかりと取り組んでまいります。 二点目が平和に関する所感ということであります。 日本は、戦後一貫して平和国家としての道を歩み、国際社会の平和と安定に貢献してきたものと認識をしております。 終戦から既に七十七年が経過し、我が国では、さきの大戦を身をもって体験された方々が次第に少なくなっており、記憶の風化が懸念されるところであります。しかしながら、私たちは、日本が世界で唯一の被爆国であり、計り知れない犠牲を生んだ悲惨な戦争の歴史があること、そして、今日の平和と繁栄が先人の大変な苦難と努力の上に築かれたものであって、現代を生きる私たちに託された尊いものであることを深く認識し、これらのことを将来の世代につないでいく責務があることを決して忘れてはならないと思います。 このたびのロシアによるウクライナへの侵略により、未来ある子供たちを含め多くの貴い命が奪われており、また、多くの方が故郷を追われ、長期にわたり避難せざるを得ない状況に、私も心を痛めているところであります。このロシアによる暴挙は、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、断じて許されるものではありません。 また、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射は、県民に対して極めて大きな緊張と不安を与え、地域社会の平和と安全を著しく脅かすものであり、強く非難されるべきものであります。 こうした動きに対し、我が国として、国際的な連携をさらに深め、経済制裁のみならず、外交による対話を続け、一日も早く国際社会の平和と安定を取り戻す努力を尽くしてほしいと考えております。 私は、平和というものは、世界の人々の命や安全、財産が守られ、安心して幸せに暮らすために欠くことのできないものであると考えております。そして、平和と繁栄を維持させていくためには、対話の積み重ねと対話に基づいた相互理解により安定した関係を築いていくことが何よりも重要であると考えているところであります。 三点目は、今後の県の取組についてということであります。 私は、全ての人が、性別、年齢、障がいの有無、国籍、文化的背景、性的指向・性自認にかかわらず、ひとしく基本的人権を有するかけがえのない個人として尊重され、活躍の場を得られるべきであって、これらを理由とする差別は許されないものと考えております。 しかしながら、性的指向・性自認の多様性につきましては、いまだ社会の理解が十分に進んでおらず、性的マイノリティーの方への差別や偏見の原因となっていること、また、性の区分が男女のみとされていることで社会生活上の様々な制約が生じ、不安や悩みを抱える方々がおられることを残念に思っているところであります。 世界の状況を見れば、令和三年六月に開催されたG7サミットにおいて、ジェンダー平等やLGBTQ差別撤廃への取組を含むG7首脳共同宣言が採択されましたが、日本には、G7で唯一LGBTQへの暴力や差別を解消するための法律がありません。 国内に目を向けますと、性的指向・性自認についての差別の解消や理解促進に向けて、平成二十七年に超党派の国会議員によるLGBTに関する課題を考える議員連盟が発足し、この議員連盟において、令和三年五月には性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案が合意されるなど、法整備をめぐる動きが出てきておりますが、法律の制定までには至っておりません。 また、現在、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の五つの地域で、同性同士の結婚が認められないのは憲法違反であるということを問う訴訟、いわゆる結婚の平等訴訟が進行しております。先日の東京地方裁判所の判決は、個人の尊厳を重視したもので、「同性パートナーと家族になる法制度がないことは憲法に違反する状態にある」との言及がなされ、報道等でも大きく取り上げられました。 さらに、多様な性への理解を広げるためのトークライブやパレードなどのイベントも本県を含む全国各地で行われており、性的マイノリティーの方が抱える様々な困難への共感や社会の関心が高まっていると感じております。 性的マイノリティーの方を含むあらゆる多様性が尊重され、受け入れられる社会を実現するため、県として、当事者はもちろん、市町村や関係団体等のお話をしっかりとお聞きし、性的指向や性自認の多様性について理解を深めるとともに、県民の皆様にも御理解をいただきながら、社会全体で多様性を受け入れる環境づくりを進め、現在、性的マイノリティーの方が抱えておられる不安や困難の解消を図ることが重要であると考えております。 また、少子化・人口減少が進む中で本県が今後も持続的に発展していくためには、多様性を理解し、認め合い、受け入れ、支え合う、寛容性のある社会をつくっていくことが大切であり、そのような社会を実現することで、異なる考えや能力が相乗効果を生んで、地域にイノベーションをもたらすことも期待されるところであります。 多様性が尊重され、誰もが個性や能力を最大限発揮し、県民の皆様一人一人が幸福を実感できる山形県となるよう、あらゆる多様性を尊重するための条例の制定なども視野に入れながら、しっかりと取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林総務部長。 ◎総務部長(小林剛也君) 指定管理施設の電気料等高騰に伴う支援等についてお答え申し上げます。 指定管理施設につきましては、制度運用の全庁的な指針であるガイドラインを踏まえ、県と指定管理者との間で個別に指定管理施設の管理運営に関する契約である協定というものを締結しておりまして、指定管理者は、この協定に従い施設の管理運営を行っているところであります。 現在、県と指定管理者との協定は五十件ございます。このうちほぼ全ての協定において、物価変動のリスクについては指定管理者側が負担するということを原則としております。したがいまして、これまでの運用の中では、想定の範囲内での物価変動につきましては指定管理者に負担していただいてきたところであります。 しかしながら、議員御指摘のとおり、今般の物価高騰は、過去四十年間の中でも最大の上昇幅となっているところでありまして、施設の状況や提供するサービスの性質によっては、施設の運営に影響を及ぼすこともあり得ないわけではないものと考えております。 こうした状況への対応としましては、さきに申し上げました指定管理者負担の原則の例外規定としまして、施設の管理運営に支障を来すような大幅な物価変動等が生じた場合には県と協議を行うことができるとする取扱いをほとんどの協定で規定しているところであります。 この規定を踏まえまして、県としましては、これまで、各施設の管理運営に与える物価高騰の影響につきまして、指定管理者へヒアリングを行ってきたところであります。現在では全体の約三分の一程度の指定管理者において、物価高騰が施設の管理運営に影響を及ぼしており協議を申し出る予定であるといったヒアリング結果が出ております。 この影響があると答えた指定管理施設のうち、幾つか実例を申し上げますと、管理経費に占める光熱水費の割合が高いある施設におきましては、これまでこの物価高騰を受けても運営の工夫によって燃料油代の高騰に対しては対応できているということでありますが、電気料金の高騰に対しては対応できていないといった実態がヒアリングの結果出てきたところであります。こうしたことから、現在、この指定管理者との間で電気料金の取扱いについて協議をしているところであります。他方、別の施設では、協定において光熱水費を実績ベースにより後日精算するという仕組みを取ってございます。このため、協議など特段の対応は必要がないというケースもございます。 このように、協定の内容や施設によって物価高騰が指定管理に及ぼす影響は様々でありまして、一律に取り扱うことは困難であることから、施設ごとに柔軟に対応してきているところでございます。 今後とも、指定管理者とコミュニケーションを取りながら、県民サービスの維持と公共施設の安定的な運営を目指していきたいと、このように考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 我妻産業労働部長。 ◎産業労働部長(我妻悟君) 労働者協同組合法の趣旨を生かした地域づくりについてお答え申し上げます。 全国的に少子高齢化が進む中、地域においては、介護、子育て、地域づくりなど幅広い分野で多様なニーズが生じております。このようなニーズに対しまして地域が積極的に取り組むためには、その担い手を確保する必要があり、そのためには、多様な働き方の実現と、担い手の意欲と能力に応じて活動できる環境の整備が重要と考えております。 このような中、本年十月一日より労働者協同組合法が施行され、労働者協同組合という新たな法人形態が制度化されました。 労働者協同組合は、労働者派遣業を除くあらゆる事業が実施可能であり、法律に定めた要件を満たせば、行政庁による許認可を必要とせずに法人格を取得でき、法人名義での契約等もできるようになるため、多様な分野で地域づくりなどに取り組む際の新たな選択肢として期待されております。 また、労働者協同組合は、労働者が組合員として出資し、それぞれの意見を事業や経営に反映して、組合員自らが事業に従事することを基本とする組織であり、労働者がお互いに話し合いながら経営方針を決めるなど、一人一人の個性や主体性が尊重され、発揮される働き方でありますので、多様な働き方を実現する上でも大変意義のある制度であります。 この労働者協同組合が法の趣旨に沿って効果的に機能していくためには、地域において法の目的や特色を広く認識していただく必要があり、このため県では、本法の施行前である本年九月に、地域で一番身近な相談先となる市町村職員、それから労働者協同組合への組織変更が見込まれる既存のNPO法人、企業組合などを対象に、東北各県に先駆けまして、法の目的や主な特色、優れた活動事例等を紹介する説明会を開催したところでございます。 今後は、県のホームページで制度内容や必要な手続等について分かりやすく情報発信を行うとともに、厚生労働省の委託を受けて労働者協同組合法の周知等を行っている日本労働者協同組合連合会とも連携しながら、労働者協同組合に関心のある地域住民も対象とした説明会を開催してまいります。 県としましては、引き続き本制度の周知と啓発に努めるとともに、労働者協同組合の形態で地域のニーズや課題に取り組みたいとの相談等があった場合には、産業労働部がワンストップ窓口となって、県関係部局のほか、市町村、日本労働者協同組合連合会等の関係機関と連携して、事業の実現に向けてしっかりと後押しをし、県内での労働者協同組合の活動拡大に取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) 山形ニュータウン構想の推進についてお答え申し上げます。 山形ニュータウン「蔵王みはらしの丘」は、健康・福祉、文化・交流、自然、ゆとりをテーマとした暮らしの実現を可能にするまちづくりを目指し、平成八年度に県と山形市、上山市が当時の地域振興整備公団に対し事業の要請を行い開発が進められてきました。 開発区域内には、住宅地と産業・商業等の施設用地が計画され、中心部には、ニュータウンのテーマや目的に合った施設を設置する中核エリアが計画されました。 住宅地及び産業・商業等の施設用地については、平成十五年度から順次分譲され、令和三年度までに分譲が完了し、現在は、千三百三十八世帯、四千二百六十五名が居住しております。 そうした中で、通学路の一部の区間に防犯灯がないことや、みはらしの丘の入り口交差点では右折矢印信号がないといった状況にあることから、県としましては、「蔵王みはらしの丘」が住みよい環境となるよう、山形市教育委員会や県警本部等と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。 また、中核エリアにつきましては、平成八年度の調査・検討段階では、総合ミュージアム、こども科学文化館、勤労者総合福祉センターなどが想定され、県と山形市で土地利用に見合った施設の誘致活動を行ったところでございますが、誘致に至りませんでした。このため、平成十二年度に中核エリアの南側は県が公園を、北側は山形市がスポーツコミュニティー施設を整備する方針としたところです。 県は、この方針に基づき公園の整備を行い、平成二十六年度に都市公園「蔵王みはらしの丘ミュージアムパーク」を開園しました。この公園には、スケートボードやグラウンドゴルフ等が楽しめる施設があり、また、今年の三月には、馬と触れ合える「うまのすけカフェ」を指定管理者がオープンしたところです。開園から八年が経過し、子供たちの遊び回る声が地域になじみ、家族連れで楽しめる公園として多くの方から御利用いただいております。 一方、山形市のスポーツコミュニティー施設につきましては、現在、市でスポーツ集会施設に加え幅広く事業用地の利活用を検討するためのプロジェクトチームを立ち上げ、様々な可能性を探っているとお聞きしております。 県といたしましては、山形市など関係機関としっかりと連携しながら、山形ニュータウン「蔵王みはらしの丘」が、住んでいる方や訪れる方にとって快適な地域となるように努めてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 高橋教育長。 ◎教育長(高橋広樹君) 学校における性同一性障害に係る児童生徒への対応についてでございます。 平成二十七年に、文部科学省の通知により、性同一性障害に係る児童生徒や性的マイノリティーとされる児童生徒に対する特有の支援や相談体制の充実について、その必要性が示され、翌平成二十八年には、当該児童生徒に対するきめ細かな対応等に係る教職員向けの手引が作成されております。 県教育委員会では、これら通知や手引を各学校に周知するとともに、管理職や生徒指導担当者を対象とした研修会等を開催し、教職員の意識啓発や理解の促進に努めてまいりました。 また、児童生徒からの相談に適切に対応できるよう、学校においては、養護教諭や学校医、スクールカウンセラーを含む校内組織を整えるとともに、悩みを抱えた児童生徒が周囲に知られることなく相談できるよう、教育センターに設置している教育相談ダイヤルの活用等学校以外の相談窓口についても周知するなどの配慮をしてまいりました。 悩みを抱えた児童生徒に対する学校生活における具体的な配慮といたしましては、多目的トイレや職員トイレの使用を認める、修学旅行の際には個別に入浴できるようにするなどの対応を取ってまいりました。最近では、高校において、ジェンダーフリーに配慮し、制服にスラックスを導入するとともに、生徒が主体的に制服を選択できるよう校則の改正も進められております。 また、学習活動におきましては、小・中学校では道徳の授業等で、高校では家庭科の授業等において、お互いの個性や多様性を認め合うことや性の多様性について学びを重ねております。 今般、文部科学省では、生徒指導に係る基本書である生徒指導提要の改訂が進められておりますが、改訂案では、性的マイノリティーについての課題や対応が初めて取り上げられ、学校における対応の具体例等について教職員が活用しやすいように改めてまとめられております。 学校は、児童生徒が性に関する悩みや不安を乗り越え、自分の個性やよさを発見し、自分らしく生きていく土台をつくる役割を担っているものと考えております。県教育委員会といたしましては、新しい生徒指導提要等も踏まえながら、児童生徒や保護者に寄り添いながら、引き続き、あらゆる差別やいじめを許さない、多様性を認め合う社会の担い手づくりに努力をしてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明日定刻本会議を開き、議案に対する質疑と県政一般に関する質問を併せ行います。 本日はこれをもって散会いたします。     午後零時三十七分 散会...